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.NET 6.0 ASP.NET Identity に MySQL 使用 (CORE)

by WebSurfer 2021年11月27日 13:53

先の記事「ASP.NET Identity で MySQL 利用 (CORE)」に、ASP.NET Core 3.1 MVC アプリで ASP.NET Identity のユーザー情報のストアに MySQL を利用するにはどうするかということを書きましたが、その Visual Studio 2022 + .NET 6.0 版です。

先の記事と違うのは、Visual Studio Community 2022 のテンプレートを使って .NET 6.0 でプロジェクトを作ったところと、非推奨になった NuGet パッケージ MySql.Data.EntityFrameworkCore に代えて Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql を使ったところです。

先の記事で使った MySql.Data.EntityFrameworkCore は非推奨になったので、まずその代替えの Oracle 製 MySql.EntityFrameworkCore を使おうと思いましたが、この記事を書いた時点での最新バージョンが 5.0.8 で .NET 6.0 には対応してなさそうです。6.0.0-preview3.1 というのがありましたがプレビュー版ですし、依存関係が net5.0 と書いてあったので使うのは止めました。(一応 5.0.8 を試してみましたが Add-Migration に失敗します。さらに後日 6.0.1 も試しましたがやはり Add-Migration に失敗します)

Oracle は Entity Framework 対応は積極的ではなさそうな感じです。一方、Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql はこの記事を書いた 2021/11/27 時点でバージョン 6.0.0 がすでにリリースされていましたので、この記事ではそれを使ってみました。

結果、Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql バージョン 6.0.0 で一切支障なく ASP.NET Identity 用の MySQL データベースを構築できました。Oracle にはあまり期待しない方が良いのかも。

(1) プロジェクトの作成

Visual Studio 2022 のテンプレートを利用して .NET 6.0 の ASP.NET MVC アプリを作成します。「追加情報」の設定で[認証の種類(a)]は必ず「なし」としてください。

新しいプロジェクトの作成

(2) ASP.NET Core Identity の実装

ASP.NET Core Identity はスキャフォールディング機能を使って実装しますが、その前に、NuGet で Microsoft.VisualStudio.Web.CodeGeneration.Design をインストールします。

Web.CodeGeneration.Design

その後で Microsoft のドキュメント「ASP.NET Core プロジェクトでの Identity のスキャフォールディング」を参考に ASP.NET Core Identity を実装します。

ID の追加

レイアウトページはステップ (1) で生成したプロジェクトのレイアウトページ ~/Views/Shared/_Layout.cshtml を設定します。

ASP.NET Core Identity 関係のすべてのファイルを取り込むため[すべてのファイルをオーバーライド]にチェックを入れます。

コンテキストクラス名、エンティティクラス名は任意ですが、この記事では ApplicationDbContext, ApplicationUser としました。 何故かデザイナの + ボタンをクリックすると現れるダイアログのテキストボックス内で名前を設定しないとダメなので注意してください。また、エンティティクラス名を設定する際、コンテキストクラス名と同じ名前空間を追加しないと、コンテキストクラスと異なる名前空間になり、後で面倒なことになるので注意してください。

その後、追加した ASP.NET Core Identity 関係の Razor ページが働くよう、以下の追加・修正を行います。Visual Studio 2022 + .NET 6.0 で作ったプロジェクトでは Stratup.cs は無くなっていますので注意してください。サービス、ミドルウェア追加のためのコードは Program.cs に移すことにしたらしいです。

  1. Program.cs に builder.Services.AddRazorPages(); を追記。
  2. Program.cs の app.MapControllerRoute(name: "default", ... ); を書き換えて endpoints.MapRazorPages(); を追加。(これが無いと Razor ページのルーティングが働かないので必須)
  3. Areas/Identity/Page/Account/Manage/ の _Layout.cshtml で Layout = "/Views/Shared/_Layout.cshtml"; に変更。
  4. Views/Shared/_Layout.cshtml に <partial name="_LoginPartial" /> を追加。

(3) Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql

NuGet で Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql バージョン 6.0.0 をインストールします。

Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql

先の記事で使った MySql.Data.EntityFrameworkCore は非推奨になってました。 代替えパッケージが MySql.EntityFrameworkCore とのことですので、まずそれの最新リリース版 5.0.8 を試してみたのですが、Add-Migration で以下のエラーとなります。

"Method 'AppendIdentityWhereCondition' in type 'MySql.EntityFrameworkCore.MySQLUpdateSqlGenerator' from assembly 'MySql.EntityFrameworkCore, Version=5.0.8.0, Culture=neutral, PublicKeyToken=c5687fc88969c44d' does not have an implementation."

Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql には上の画像の通りバージョン 6.0.0 (.NET 6.0 用) がありますのでそれを使ってみたところ、Add-Migration, Update-Database で問題なくデーターベースを生成できました。

 

(4) 接続文字列の変更

テンプレートで自動生成された接続文字列は appsetteins.json にありますが、それは LocalDB を利用するように設定されていますので、MySQL に接続するように変更します。以下の例を見てください。

接続文字列の変更

例えば、上の画像のように database=coreidentity2 とデータベース名を指定すると、Entity Framework Code First の機能を使って coreidentity2 という名前のデータベースを新たに生成し、そこに必要なテーブルを生成してくれます。

(5) Program.cs の修正

自動生成されれた Program.cs ファイルで、サービス登録のコードが SQL Server を使うように設定されていますが、これを MySQL を使うように変更します。以下のような感じです。

サービス登録の変更

Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql を使う場合、UseMySQL ではなくて UseMySql であること、引数が異なることに注意してください。詳しくは Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql の「2. Services Configuration」のコードを見てください。

(6) プロジェクトのリビルド

ここで一旦プロジェクトをリビルドします。リビルドには成功するはずですが、以下の通り警告が 6 つ出ると思います (現時点での話で将来改善されるかも)。

プロジェクトのビルド

上の 2 つは LoginWith2fa.cshtml.cs での using 句のダブり、残り 4 つは NULL 許容参照型がプロジェクト全体で有効化されているものの一部の .cshtml ファイルのソースコードがそれに対応してないことによります。そこを直してもう一度リビルドします。

(7) Add-Migration の実行

パッケージマネージャーコンソールから Add-Migration CreateIdentitySchema を実行します (CreateIdentitySchema という名前は任意です)。

Add-Migration を実行

上の画像で赤色で反転された文は MySql.EntityFrameworkCore バージョン 5.0.8 を使って失敗した結果のメッセージです。その下が Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql バージョン 6.0.0 を使って成功した結果です。

Migrations と言う名���のフォルダとその中に xxxxx_CreateIdentitySchema.cs というファイルが生成されているはずですので確認してください。ファイル名の xxxxx は作成時のタイムスタンプ、CreateIdentitySchema は Add-Migration コマンドで指定した名前です。

(8) Update-Database の実行

次に Update-Database を実行し、Entity Framework Code First の機能を利用して MySQL にデータベース / テーブルを作成します。成功すると、以下のようにデータベースと、必要なテーブルが一式生成されます。coreidentity2 というデータベース名は、上のステップ (4) で接続文字列に指定したものになります。

MySQL データベース

先の記事で問題となった"Specified key was too long; max key length is 3072 bytes" という制約のためエラーになるということはなかったです。

データベース / テーブルは CreateIdentitySchema.cs ファイルのコードに基づいて生成されるのですが、先の記事では主キーの長さが指定されてなかったところが、以下のように varchar(255) に指定されています。

CreateIdentitySchema.cs

utf8mb4 を使用していますので、主キーに設定された varchar(255) は 255 x 4 = 1,020 バイトになります。連結主キーでも制限の 3,072 より小さいので問題ないということのようです。

その後で Visual Studio から MVC アプリを起動しユーザー登録できます。登録したユーザーは上の手順で作成した MySQL データーベースに反映され、登録した ID とパスワードでアプリにログインできるようになります。

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CORE

MySQL で Contoso University チュートリアル (CORE)

by WebSurfer 2021年10月19日 12:22

データベースに MySQL を利用して、ASP.NET Core MVC アプリを Micorsoft のチュートリアル「ASP.NET Core MVC と EF Core - チュートリアル シリーズ」に従って作成してみました。その際に気になったこと、憶えておいた方が良さそうなことを備忘録として残しておきます。

Contoso University アプリ

チュートリアルはデータベースに SQL Server (LocalDB) を使うことを前提に書かれています。それを MySQL に代えて、チュートリアルの「1. 開始するには」から「8. コンカレンシーの競合の処理」までの手順に従って実装しました。

この記事で使った MySQL サーバーは Windows 10 にインストールしたバージョン 8.0.19 です。詳しくは先の記事「MySQL をインストールしました(その 3)」を見てください。

以下に「1. 開始するには」から「8. コンカレンシーの競合の処理」の各手順において、気になったこと、憶えておいた方が良さそうなことを書いておきます。

一番気になっていたのは「8. コンカレンシーの競合の処理」の手順の楽観的同時実行制御の実装でしたが、モデルのプロパティの定義だけ変更すれば MySQL でも可能でした。その結果が上の画像です。

(1) 開始するには

この記事では、チュートリアルに書いてあるようなプロジェクトの新規作成はせず、先の記事「MySQL で Movie チュートリアル (CORE)」で作成した既存のプロジェクトをベースに使いました。

まず Microsoft.AspNetCore.Diagnostics.EntityFrameworkCore を NuGet からインストールします。その他の必要な NuGet パッケージはベースに使った既存のプロジェクトにインストール済です。結果は以下のようになります。

NuGet パッケージ

Microsoft.AspNetCore.Diagnostics.EntityFrameworkCore の役割は "ASP.NET Core middleware for Entity Framework Core error pages. Use this middleware to detect and diagnose errors with Entity Framework Core migrations." だそうです。チュートリアルの「データベース例外フィルターを追加する」と関係があるようです (未確認ですが)。

Strtup.cs ファイルにある Startup クラスの ConfigureServices メソッドに SchoolContext を登録するコードを追加します。以下の通りです。

SchoolContext を登録

チュートリアルの手順「SchoolContext を登録する」に書いてあるコードは SQL Server 用で、これを MySQL 用に変更する必要がありますので注意してください。

次に appsettings.json ファイルに接続文字列を設定します。チュートリアルの例は LocalDB 用ですので MySQL 用に変更します。以下のような感じです (あくまで「感じ」です。MySQL の設定により異なります)。

接続文字列を設定

チュートリアルの「コントローラーとビューを作成する」の手順でスキャフォールディングを行う際、NuGet パッケージに Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer が必要になるケースがありますので注意してください。エンティティクラスの定義によると思われます。ここ「(1) 開始するには」の手順では不要でしたが、下の「(6) 関連データの読み取り」では必要でした。

アプリを実行すると EF Code First の機能を使って、接続文字列で database=ContosoUniversity1 と指定した通り ContosoUniversity1 という名前のデータベースと、SchoolContext クラスで指定した Course, Enrollment, Student という名前のテーブルが生成されます。

さらにチュートリアルには初期データをシードするためのコードが含まれており、その通り実装すれば、最初にアプリを実行した時にコードに書かれた通り初期データが Course, Enrollment, Student テーブルに登録されます。

(2) 作成、読み取り、更新、削除の操作

チュートリアルある通りに実装してチュートリアル通りの結果が得られます。

(3) 並べ替え、フィルター、ページング、グループ化

チュートリアルある通りに実装してチュートリアル通りの結果が得られます。

(4) 移行

ここは Migration 操作を学ぶことを目的としているようです。

チュートリアルでは dotnet コマンドを使っていますが、Visual Studio を使っているならそのパッケージマネージャーコンソールを使った方が簡単だと思います。

NuGet パッケージ Microsoft.EntityFrameworkCore.Tool が必要ですが、上のステップ (1) の画像の通りインストール済みですので、このチュートリアルの操作にはパッケージマネージャーコンソールを使いました。

Drop-Database, Add-Migration, Update-Database という操作を行いますが、データベースが MySQL だから何か問題が出るということは、少なくともこのチュートリアルの操作ではありませんでした。(この後のセクション「(5) 複合データ モデルの作成」では 2 点問題がありましたが)

ベースに使った既存のプロジェクトには他の既存のコンテキストクラスが含まれています。そういう場合は、Drop-Database, Add-Migration, Update-Database 操作の際に、既存のコンテキストと区別するため、-Context SchoolContext オプションの追加が必要です。

(5) 複合データ モデルの作成

MySQL ではチュートリアルの通りにはできないということがありました。問題があったのは以下の 2 点です。

  1. Column 属性」のセクションで Student クラスの FirstMidName プロパティに付与した [Column("FirstName")] 属性。
  2. Department エンティティを作成する」のセクションで Department クラスの Budget プロパティに付与した [Column(TypeName = "money")] 属性。

いずれも Add-Migration の後の Update-Database コマンドで前者は NotImplementedException、後者は MySqlException がスローされ、MySQL のテーブルの変更・生成に失敗します。

前者は既存の Student テーブルの FirstMidName 列の名前を Migration 操作で FirstName という名前に変更しようというものです。NotImplementedException 例外がスローされるということは MySQL 用の Entity Framework にその実装がされてないということのようです。

後者は MySQL には TypeName = "money" で指定した money 型はないためのエラーです。

上記の操作に失敗で先に進めることができなくなったしまったので、やむを得ずゼロから作り直しました。Drop-Database で ContosoUniversity3 をドロップし、Add-Migration で生成された Migrations フォルダのファイルを削除し、チュートリアルに従ってコードの修正・追加を最後まで終わらせてから(途中で Migration 操作は行わないで)、最後に一気に Add-Migration, Update-Database コマンドでデータベースを生成しました。

問題となった Student クラスの FirstMidName プロパティに付与した [Column("FirstName")] 属性ですが、データベースを生成する最初の時点で付与しておけば指定した通り Student テーブルの当該列の名前は FirstName になります。チュートリアルのように最初に FirstMidName という列名で作って、後で Migration 操作で変更しようとすると、その操作に必要なメソッド等が実装されてないからか、NotImplementedException がスローされます。

Department クラスの Budget プロパティに付与した [Column(TypeName = "money")] 属性は [Column(TypeName = "decimal")] に変更が必要です。

チュートリアルの「移行を追加する」の手順に、Migrations フォルダに生成された ComplexDataModel クラスのコードに手を加えるように書かれていますが、それは先の操作でデータベースに作成済みの既存のレコードとの整合を取るためのもので、ゼロから一気に作るのであれば不要です。

(6) 関連データの読み取り

スキャフォールディング操作の際 NuGet パッケージに Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer が必要になります。ちなみに「(1) 開始するには」の手順では不要でした。上の「(5) 複合データ モデルの作成」でいろいろ変更・追加したエンティティクラスの定義によると思われます。

そのため、最初のスキャフォールディング操作には失敗しますが、その際 Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer が自動的に追加されますので、以下のようになっていることを確認し再度スキャフォールディングすれば成功すると思います。

NuGet パッケージの確認

上の画像の 1 番目から 4 番目のパッケージ間でのバージョンの不一致、ランタイムとのバージョンの不一致があるとスキャフォールディングに失敗することがありますので注意してください。

もう一つ、MySQL とは関係ないチュートリアルのミスですが、Courses Taught by Selected Instructor テーブルを表示する View のコードで selectedRow = "success"; となっていますが、selectedRow = "table-success"; にしないと Select しても背景色が変わらないので修正してください。

(7) 関連データの更新

チュートリアルある通りに実装してチュートリ��ル通りの結果が得られます。

(8) コンカレンシーの競合の処理

チュートリアルの手順では Department テーブルに rowversion (Transact-SQL) 列を追加し、それを使って楽観的同時実行制御を実装するというものです。

MySQL には rowversion はなく、それに代わるものとして timestamp というものがありますが同じではありません。.NET 側では rowversion は byte[] 型、timestamp は DateTime 型になるのですが、そのような違いがあっても Entity Framework による楽観的同時実行制御に使えるかが懸念したところです。

チュートリアルには Department クラスに byte[] 型の RowVersion プロパティを追加して Migration 操作でデータベースの Department テーブルに RowVersion 列を追加するよう書かれています。まずそこを MySQL ように変更する必要があります。

ググって見つけた記事 entity framework 6 mysql rowversion を参考に以下のプロパティ定義を使いました。

[Timestamp]
[ConcurrencyCheck]
[DatabaseGenerated(DatabaseGeneratedOption.Computed)]
public DateTime TimeStamp { get; set; }

timestamp では分解能が不十分という話もあるようですが、11.3.1 DATE、DATETIME、および TIMESTAMP 型によると "DATETIME または TIMESTAMP 値には、マイクロ秒 (6 桁) までの精度で後続の小数秒部分を含めることができます" とのことですので十分ではないかと思います。なので今回は上のプロパティ定義で実装してみました。

マイクロ秒以内で同時実行が行われるケースも考えなければならないとか、どうしても分解能が気になるという場合は Better way to implement a row version with EF Core and MySQL? に紹介されている方法もありそうです。

Add-Migration, Update-Database コマンドで MySQL の Department テーブルには以下のようにそれらしい形で datetime 型の Timestamp 列が追加されます。timestamp 型でないのがちょっと気になりますが。

Department テーブル

特に気になっていたのはスキャフォールディング機能を使って Department テーブルの CRUD 用のコントローラーとビューを生成したとき TimeStamp 列を使って同時実行制御を行う機能が含まれるかということです。

結果は、SQL Server の場合と同様に、同時実行で DbUpdateConcurrencyException 例外がスローされ楽観的同時実行制御ができるようになりました。この記事の一番上の画像がその結果です。

なお、プロパティ名をチュートリアルの RowVersion から TimeStamp に変えましたので、チュートリアルの「Edit メソッドを更新する」の Edit アクションメソッドのコードで RowVersion, rowVersion となっているところは TimeStamp, timeStamp に変更が必要です。型の指定も byte[] となっているところを DateTime に変更する必要があります。

Edit 用の View のコードも同様で、「Edit ビューを更新する」のコードで RowVersion, rowVersion となっているところは TimeStamp, timeStamp に変更が必要です。

Delete については View の <input type="hidden" asp-for="RowVersion" /> の RowVersion を TimeStamp に変更します。


チュートリアルにはこの先に「9. 継承」と「10. 高度なトピック」がありますが、それはまた次の機会にということで・・・

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CORE

MySQL で Movie チュートリアル (CORE)

by WebSurfer 2021年10月3日 14:15

データベースに MySQL を利用して、Micorsoft の ASP.NET Core MVC のチュートリアル「ASP.NET Core MVC の概要」および「パート 4、ASP.NET Core MVC アプリにモデルを追加する」に従ってアプリを作る方法を書きます。

Movie アプリ

チュートリアルは、モデル(エンティティ)クラスの定義だけをプロジェクトに追加し、その後 CRUD 操作に必要な Controller、View などのコードやデータベースを Visual Studio 2019 のデザイナを利用して自動生成するというものです。初心者でも簡単に作成できるアプリながら、データベースを利用する ASP.NET Core MVC の基本的かつ重要な部分が含まれていると思います。

チュートリアルは SQL Server を使用する前提で書かれていますが、それを MySQL に変える場合はどのようにするかを以下に書きます。MySQL 本体は先の記事「MySQL をインストールしました(その 3)」に書きました既存の 8.0.19 を使います。

(1) プロジェクトの作成

チュートリアル「ASP.NET Core MVC の概要」の通り、Visual Studio 2019 のテンプレートを利用して対象のフレームワークは .NET 5.0認証「なし」の ASP.NET Core MVC アプリを作成します。

対象のフレームワークは .NET Core 3.1 でも良いですが、そうした場合は NuGet パッケージのバージョンの選び方に注意してください。間違うとスキャフォールディングでエラーになります。

また、認証を「個別のアカウント」にすると SQL Server を利用した Entity Framework 関係のパッケージがインストールされ話がややこしくなりますので、まずは認証は「なし」でやってみることをお勧めします。

(2) モデルの定義とスキャフォールディングの実行

チュートリアル「パート 4、ASP.NET Core MVC アプリにモデルを追加する」に従って、モデル(エンティティ)クラスの定義をプロジェクトに既存の Models フォルダに追加します。

using System;
using System.ComponentModel.DataAnnotations;

namespace MySqlMovie.Models
{
    public class Movie
    {
        public int Id { get; set; }
        public string Title { get; set; }

        [DataType(DataType.Date)]
        public DateTime ReleaseDate { get; set; }
        public string Genre { get; set; }
        public decimal Price { get; set; }
    }
}

次に、Microsoft.EntityFrameworkCore.Design を NuGet からインストールします。この記事では、この記事を書いた時点での最新版 5.0.10 を使いました。対象のフレームワークを .NET Core 3.1 にした場合は、Microsoft.EntityFrameworkCore.Design のバージョンは 3.1.18 にするのが良さそうです。5.0.10 を使うとスキャフォールディングでエラーになると思います。

チュートリアルの通り Visual Studio でスキャフォールディングを実行すると以下の操作が自動的に行われます。

  1. 他に必要な NuGet パッケージ(Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer, Microsoft.EntityFrameworkCore.Tools, Microsoft.VisualStudio.Web.CodeGeneration.Design)の追加
  2. Data フォルダにコンテキストクラスの作成
  3. Startup.cs ファイルの ConfigureServices メソッドにコンテキストの登録
  4. appsettings.json ファイルへの接続文字列の追加
  5. CRUD 操作に必要な Controller / View 一式の生成

SQL Server の場合は上記でプロジェクトは完成ですが、MySQL を利用する場合は上の 1, 3, 4 に以下の変更を行う必要があります。

(3) NuGet パッケージの変更

スキャフォールディングで自動的に追加された NuGet パッケージ Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer を削除します。 代わりに MySql.Data.EntityFrameworkCore をインストール・・・しようとしたら非推奨とのこと。 代替えパッケージが MySql.EntityFrameworkCore とのことなのでその最新版 5.0.5 をインストールしました。その結果が以下の画像です。

NuGet パッケージ

(スキャフォールディングで自動的に追加される Microsoft.EntiryFrameworkCore.Tools のバージョンは 5.0.9 ですが、Migration 操作の際ランタイムのバージョン 5.0.10 より古いという警告が出るので、上の画像では 5.0.10 に更新しています)

(4) Startup.cs ファイルの修正

スキャフォールディング操作で Startup.cs ファイルの ConfigureServices メソッドに自動的にコンテキストが登録されますが、それは SQL Server 用なので、以下のように UseSqlServer を UseMySQL に変更します。

UseSqlServer を UseMySQL に変更

コンテキストクラスの登録はコントローラーへの DI に必要です。登録してあれば、フレームワークがクライアントからの要求を受けてコントローラーを初期化する際、コンテキストクラスを初期化してコンストラクタ経由で渡してくれます。

(5) 接続文字列を MySQL 用に変更

スキャフォールディング操作で appsettings.json ファイルに接続文字列が自動生成されますが、それは SQL Server 用なので MySQL 用に変更します。

接続文字列の変更

データベース名は任意です。上の画像のように database=MySqlMovie というようにデータベース名を指定すると、Entity Framework Code First の機能を使って MySqlMovie という名前のデータベースを新たに生成し、そこに必要なテーブルを生成してくれます。

(6) Add-Migration の実行

Visual Studio のパッケージマネージャーコンソールで Add-Migration InitialCreate コマンドを実行します。結果、以下の画像の通り InitialCreate クラスが Migrations フォルダに自動生成されます。

Add-Migration の実行結果

ちなみに、InitialCreate という名前は任意に指定できます。指定した名前で xxxxx_InitialCreate.cs (xxxxx は作成日時) という名前のファイルが作成され、それに InitialCreate という名前のクラスが定義されます。

(7) Update-Database の実行

Visual Studio のパッケージマネージャーコンソールで Update-Database コマンド を実行します。これにより以下の画像の通り MySQL にデータベースが生成されます。

Update-Database の実行結果

接続文字列で database=MySqlMovie とした通り MySqlMovie という名前でデータベースが生成され、InitialCreate クラスの name: "Movie" で指定された名のテーブルが生成されています。

(8) プロジェクトの実行

上記 (7) まででアプリは完成です。プロジェクトを実行して Create 画面を表示して 2 つレコードを追加し、Index 画面でその一覧を表示したのがこの記事の一番上の画像です。

MySQL の Movie テーブルにも追加結果が反映されています。

Movie テーブルの内容

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2010年5月にこのブログを立ち上げました。主に ASP.NET Web アプリ関係の記事です。

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